たまゆらの秘密 ⑩サイ科学会

日本におけるハードな心霊主義の系譜に「たまゆら」を位置づけて見ることも可能である。
電気通信大学名誉教授で電波工学の専門家であった関英男は、船井幸雄や植原紘治と共に設立した教育団体「加速学園」や速読団体「ルンルの会」を通じて、「洗心」連呼や「両手振り運動」などの自己暗示法を展開普及したことで知られる。
関らの主導した実践サークルでは、90年代末ごろよりたまゆら写真が盛んに取り上げられ、実践者の精神的・霊的向上の証として、あるいはより神道的世界観へと傾倒した理解とともに、参加者のホームページを通じて発信された。こうしたたまゆら観は後年、船井が主導した各種団体に引き継がれる。

関のオカルト・霊性の分野における探求は、同大教授の佐々木茂美と共に1976年に設立した超科学団体「日本サイ科学会」を原点とする。
機械工学の専門家であった佐々木は、サイ科学会誌上で主に念動力や気の研究を発表していたが、2003年以降は意識を持つ霊的エネルギー体=オーブ(2014年頃より「たまゆら」呼称を使用)の研究に傾倒し、2019年に研究成果をまとめた『オーブ・たまゆら』(ヒカルランド)を刊行した。

 

サイ科学会を通じた関・佐々木の超科学研究は、医療応用を中心とした活動を続ける福来研究所や、文化的プレゼンスの維持を担う日本心霊科学協会と並んで、本邦におけるスピリチュアリズム疑似科学の架橋を担ってきた系譜の末裔をなすといえ、影響力こそ小さいが重要である。
余談だが、広島大学名誉教授・現上海科学技術大学教授の工学者である佐々木茂美は、先述の佐々木と同姓同名の別人であるが、同教授は近接場光学を応用した光渦発生などの研究を行っており、見る者によってはうっかり面白いことになってしまっている。

 

(2017年発行・2020年新編発行の同人誌「たまゆらのひみつ」より抜粋・改稿)